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長らくお借りしていたZ1100GPも、3XVに引き続きめでたく納車となりました♪
遠方からオーナーさんがお迎えにいらっしゃいました。
今回はSP-TDCのほうで色々と対策できたので、そこら辺の説明がてらオーナーさんにも1日時間を取って頂いてご一緒にセッティングをやってみました。
まずはその変化を体験して頂きたいので、あらかじめマップを3種類用意しておいて乗り比べてもらいましたよ♪
先入観念が入らないように、どんなマップかはオーナーさんには内緒で乗ってもらいました(笑
では1つ目のマップでGO!
最初はコース案内で、うちのヨッシィが先導して走りました。
2本目からはオーナーさん単独走行です。
さて1回目はどうでしょう?
「とっても乗りやすいです♪ 普通ですね♪」
「あ、いやいや、誉め言葉の普通ですよ(^-^;」
オーナーさん、随分気を遣ってのインプレですが(笑
わかりますよ♪ 良い意味の普通ですよね(^^)
製作側としては普通っていうのはとっても難しいし、嬉しい感想です♪
オーナーさんにはタネあかしせず、続けて3つのマップを乗ってもらいました。
1回目のマップは、乗りやすい、とっても普通に乗れる、高回転はガスが足りない感じがする、でした。
実は、こんなマップです。
負荷側のみの2D燃調マップで、3000rpm以下だけ少し薄くしてあります。
折れ線グラフにするとこんな感じ。
3000rpm以下の負荷30%以上の部分を、噴射時間にして50μ秒ほど薄くしてあります。
このZ1100GPは、今回インジェクション化する前は40パイのキャブだったと聞いていたので
それだけの口径だと低回転ではガソリンがうまく吸えなかったのではないかと思ってこうしてみました。
結果、キャブのときと似たフィーリングで「普通」を演出できたと思います(^^)
高回転でガスが足りない感じは、まだ負荷側だけの2Dマップだからもちろん足りないわけです。
では、2つ目のマップでどうぞ♪
「うん♪ 今度は全体にトルクが増した感じです♪」
「ただ、極低回転で濃いのかな!? 少しボコボコいう感じですね。 合ってますか?(^-^;」
はい♪ ピッタリ合ってますよ。
オーナーさんにしてみたらテストされてるみたいで緊張しますよね(笑
でも先入観が入ると困るので、もうちょっとの辛抱です。
2つ目のマップはこれでした。
はい、完全な2Dマップです。
1回目との違いは、3000rpmで減量してないことです。
たったこれだけなんですけど、40パイのキャブではたぶん出来なかったセッティングではないでしょうか。
また、下だけしか変えてないのに全体にトルクが出た感じというのが重要です。
下が最適より濃くなると、その分上の回転にも影響が出てきます。
これで、2000rpmはちょっと濃い、2000~4500rpmあたりはこれで適正、それ以上は薄いという判断ができます。
では、最後の3つ目のマップです。
「うん♪ これはいいですね♪ 加速ポンプが付いた感じです(^^)」
でしょ♪
でもね、これ燃調マップは2つ目と同じなんですよ。
違うのは進角マップです。
1回目と2回目は最大進角28.1度、3回目は35度になってます。
たったこれだけなんですが、燃調を変えたかのような体感があるんですね。
ここまで乗って頂いたところで、全てのマップをオーナーさんに見て頂きました。
さぁ、ここまででZ1100GPはどんな感じでしょう(^^)
「いやいや、もうこれで十分ですよ♪ 十分だけど、まだ上が回るんだろうなぁとは思います(^^)」
ですよね、だってまだまだ2Dマップでしかないですから(笑
さぁて! ここからですよ! どうです? もう一本いってみませんか?
「お~ いいですね~ 是非♪ 是非♪」
ではここからのセッティング担当はおだ。さんです。
オーナーさんが走ってきたときのログデーターと、オーナーさんのインプレを聞いておだ。さんがマップを作り直しますよ。
で、できたマップがこちら。
3000rpm以下をちょっと薄めで1回目と2回目の中間くらい、5500rpm以上を増量です。
3Dマップといってもまだまだこんなもんですが、このわずかな違いが重要です。
さぁオーナーさん、いかがでしょう?
「おだ。さん天才!! これはもう、ちょっと怖いですよ♪ 下も上もいい感じです(^^)」
よし!
最後にちょっと乗せて頂きましたが、先回の初期セッティングのときと比べるとボアアップしたかのような違いがありました。
またさらに乗りやすくなって、どこからでも開けられる感じです。
6速 1500rpm、40km/hくらいからでもちゃんとトルク感のある加速をしました。
こうなると街乗りで6速のままシフトチェンジせずに走っていられるので、とっても楽しいですよ(^^)
これがオーナーさんのおっしゃる「普通」ですね(^^)
SP-TDCでインジェクション化して、もちろんキャブよりスムーズにはなってますが、かといって言わなきゃインジェクションとは感じないと思います。
現行のインジェクション車に乗ると、それは比べ物にならないくらいスムーズですが、昔からキャブ車に乗ってる人にとっては、何かデジタルっぽい違和感を感じると思います。
でもこのZ1100GPはキャブっぽい「普通」さが十分に演出できてます。
これはどうにも数値化できるものではありませんが、乗ってみると確かに感じる楽しさですよね(^^)
それから、今回はオーナーさんのご協力でSP-TDC装着当初のうまく動作しない状態のまま車体をお借りできたことで、長年現象を再現することができなくて対策できなかったことも数多く対策することができました。
他のユーザーさんにフィードバックできることもありますし、次バージョンの構想につながることも得ることができました。
動作しない自分の車両を他人に見せるのは誰だってイヤなことだと思いますが、そのおかげでようやくSP-TDCの実車テストが完結したような気がします。
大きなメーカーなら当然やってるテストでも、うちのような小さなところだとこういうご協力がない限りできないテストだったと思います。
遠方にもかかわらず、大事な車体をお貸し頂いて本当にありがとうございました。
ようやく完成したZ1100GP、SP-TDC、是非お楽しみください(^^)/