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お久しぶりでございますm(__)m
去年の暮れからあまり体調がよろしくなくて、やっと良くなったと思うとまた別のところが悪くなり
なかなか思うように仕事がはかどらず、ご迷惑をおかけしております(^_^;)
でも回復傾向ではありますので、ぼちぼちやってます。
農作業もはじまるので、いいかげん完調に戻さないといけないんですけど
無理せずだましだましやってます(^^ゞ
さて、だいぶ間があきましたが、V140インジェクションタイプのワーストケーステストの中間報告です(^^)b
HAKUBIさんがコメントしてくれて、へぇ~ こういうのワーストケースっていうのかぁ( ..)φメモメモ
なんかカッコいいと思って使わせて頂いてます(笑
現状では、みなさんからご報告があった現象についてはほぼ特定できた状態で、
どう対策するか検討しているって感じです。
全部は書ききれないんですが、主なところを報告したいと思います。
まず、気温3℃程度の状態でやってみたんですが、ビックリするほどエンジンかかりません ( ̄□||||ガーン!!
正直ここまで悪いのかって感じです。
みなさんがおっしゃる現象は完全再現できてます。
ということで、詳しく検証していきます(^^)b
セル始動時に、明らかにSP-TDCが再起動していたのでバッテリーをチェックしてみました。
↓これが冷間始動1発目のバッテリー電圧の波形です。
セルスタートした瞬間、急激に電圧が低下していました。
バッテリーは10ヶ月放置後に充電した状態で、波形のようにバッテリー電圧は12.1Vなので
ちょっと弱り気味ではあります。
でも、セルを廻した感じでは特にバッテリーが弱ってると感じるレベルではありません。
まぁ普通の状態と感じられます。
にもかかわらず、セルスタートした瞬間4.8Vまで低下しました。
SP-TDCの最低動作電圧は8Vなので、これでは当然リセットしてしまいます。
電圧低下してるところを拡大してみます。
8Vをわってる時間は約90m秒、0.09秒ですね。
ほぼ0.1秒なので、感覚としてはほんの一瞬です。
これは、バッテリーが悪いと言える状態ではありませんね。
この状態でリセットするようでは、やっぱりよろしくありません。
ただ、リセットしたとしても10m秒以内には再起動するので、点火のみのSP-TDCや
インジェクションでもセッティングが出た後なら問題にならないのでしょう。
テストを続けるために、SP-TDCだけ別バッテリーにしてみました。
バッテリーのマイナスターミナル同士をつなぎます。
画像の白い線ですね。
それでSP-TDCの本来バッ直にする線を、予備バッテリーのプラスターミナルにつなぎます。
これでセルは車両搭載のバッテリー、点火とインジェクション関係は予備バッテリーからの給電になるので
クランキング時にSP-TDCがリセットすることはありません。
が、結論からいいますと、この状態でも始動できませんでした。
さすがにインジェクタが詰まったのか!? ってことでチェックしてみます。
と、ここでインジェクタの無効噴射時間の簡単な調べ方をご紹介します(^^)b
インジェクタには、通電開始してから実際にガソリンを噴射するまでのタイムラグがあります。
これを無効噴射時間といいます。
インジェクタの個体差で結構時間が違うので、セッティング初期には問題にならなくても
セッティングを詰めていくとこのバラつきが問題になってきます。
SP-TDCには、無効噴射時間のテストモードもそなえているんですが、実際にガソリンが噴射
しはじめるところを目視しなきゃいけないので、なかなか怖いですよね。
そこで、簡易的に調べる方法がインジェクタの動作音を聞くことです。
今回テストしたインジェクタの無効噴射時間は1300μsなんですが、
1000μsに設定した場合と、1300μsに設定したときの音が↓これです。
ガソリンが出始める時間になると急に音が大きくなるので、わりと簡単にわかりますし
車体に装着したままチェックできます。
もちろん燃料ポンプは止めてチェックしてください。
燃料ポンプが動いているとシリンダー内に大量にガソリンが入ってしまいますので。
話を戻しますが、インジェクタには詰まりもないのにエンジン始動できません。
その後、始動時噴射時間を変えたり、オンビートでMAXの5000μs噴射してみたり、
テストモードでビチャビチャになるほど噴射してみたり、色々やってなんとか始動しましたが
根本的に何か問題がありそうです。
根本的とはいっても、ここまで寒くなければ何の問題もなく始動してますので
やっぱり冷間時の動作ですね。
ここで ふと、思いました・・・
インジェクション制御の考え方は正しいのか!?
SP-TDCを作るのに、当然色々と勉強したり実験したりしたんですが、全部実験したわけじゃない。
あまりにも当たり前とされてることは、実験せず鵜呑みにしてるとこもあるかな・・・ と。
例えば、グループ噴射よりシーケンシャル噴射が優れているとか、
吸気バルブが閉じているときに噴射するのがセオリーとか・・・
またしても、まさかの間違った神話があるんじゃないのか!? と、頭をよぎりました(^_^;)
ならば! ってことで、どんなに寒かろうがイッパツ始動の車はどうなってんの? ってことで
テリオスキッドの噴射を調べてみることにしました。
テリオスキッドは660ccの3気筒、気筒当たり220ccですね。
4気筒なら880ccになるので、サイズ的にも750~リッタークラスと同等と考えられます。
では、テリオスの冷間始動時の噴射を見てみます。
5000μsを2回も噴射 w(( ̄ ̄0 ̄ ̄))wワオッ!!
しかも、意外にもクランク2回転に1噴射、つまりシーケンシャル制御になってますね。
波形は本来1回の噴射のところ、2度噴射してます。
少しだけ温まったときの始動時噴射は・・・
6000μsの1回噴射です。
SP-TDCの初期値では2000μsなので、これでも実に3倍ですね。
これじゃ気温3℃ではかからないわけです。
ちなみに、テリオスのアイドリングは・・・
2000μs、これは無効噴射時間も含んでるので、実噴射は700μs程度と思われます。
これはSP-TDCとほぼ同じですね。
では、ターボがバリバリ効いている5200rpm。
なんと14,000μs (@_@;)
ターボとはいえ、そんなに (@_@;)
実噴射は13,000μs弱だから、SP-TDCの最大噴射量5,000μsの実に2.6倍!
しかも、クランク2回転で23,000μsだから60%も噴射してる。
これだと計算上6400rpmを超えたら吸気バルブが開いてるときにも噴射することになる。
軽自動車だから十分そこまで廻るし、そんなギリギリなわけないので
これで吸気バルブが閉じているときに噴射ってのは、神話ってことになりますね。
さらに、8500rpmを超えると噴射しっぱなしになってしまいます。
車ではそこまで廻らないからいいとしても、バイクは無理です。
ってことは、同排気量でもバイク用のインジェクタのほうが大きいサイズになってるはずですね。
ん~、神話にしばられて最大噴射量を5,000μsとしていたんですが、
これではSP-TDCの噴射量が足りないのは明らかです。
あと、もうひとつ。
お客さんからの報告で、アイドリングのバキューム値よりも2000rpm~3000rpmで巡航してるときの
バキューム値が下がるので、燃調マップを作りにくいというのがありました。
本来はアイドリングのバキューム値が一番低く、それより下がるのはアクセルオフしたときだけのはず。
どの回転でもパーシャルではアイドリングと同じか少し高いバキューム値になります。
ここでいうバキューム値というのは、バキュームセンサーの信号電圧のことで負圧とは違いますので
お間違いなく。
負圧が高い = バキューム値が低い
負圧が低い = バキューム値が高い
ですので(^^)b
こういうとややこしいですが、概ねアクセルを開けるとバキューム値が上がり、閉じると下がるって
普通のことですので、あまり深く考えすぎないでくださいね。
ということで、燃調マップ上では走行中は全て0%以上で、アクセル全開が100%と思って頂ければ
それでいいのですが、お客さんの報告では2000rpm~3000rpm巡航で-○○%となってしまうとのことです。
-○○%となるのはアクセルオフ、ようするにエンジンブレーキ時とか回転を落とそうとするときの
制御なので、巡航でマイナスになってしまっては困りますね。
これを検証するのにバキュームセンサーの波形をとってみました。
あ~ なるほど~ ・・・ と、
わかったんですが、ここはちょっと企業秘密が満載のとこですね(^^ゞ
ということで、支障がない部分だけ(^^)b
まず↓この波形をご覧ください。
1800rpmと5000rpmのときのバキュームセンサー信号波形です。
横軸が時間経過で、縦がセンサー値です。
横軸は1800rpmと5000rpmでは全然違いますが、クランク2回転分で合わせてあります。
そんで、水色の部分が吸気工程になります。
吸気工程の最初で、グラフが上がっていますね。
これはバルブオーバーラップがあるため、吸気バルブが開いた瞬間の吹き返しと思われます。
その後、1800rpmでは吸気工程が終わると同時にセンサー値が上がりはじめますが、
5000rpmでは吸気工程が終わってもわずかにセンサー値が下がり、上がり始めるのが遅いです。
これが吸気慣性によるものと思われます。
波形は全体的に5000rpmのほうが下にありますね。
5000rpmのほうが負圧がかかっているということです。
ですが、注目してほしいのは最大に負圧がかかったところ、グラフが下がったところは
1800rpmでも5000rpmでもほぼ同じという点です。
これはどちらの回転も空ぶかしで回転を一定に保った状態です。
ほぼ無負荷でパーシャルの状態ということですね。
これは走行中も同じで、パーシャルであればどの回転でも最大負圧は同じになるということです。
みなさんがイメージしている負圧は、平均負圧なんです。
回転が上がると、単位時間あたりの吸気量が増えるのでいっぱい吸ってるイメージで、
当然も負圧もかかると思いますよね。
平均負圧ならそのとおりなんですが、瞬間的な負圧はそうではないのです。
瞬間的な最大負圧なら、エンジン負荷とほぼ比例するのでバキュームセンサーひとつでの制御が
可能になります。
燃調マップでいうと、どの回転でもエンジン負荷0%がパーシャルの状態となり
マップが作りやすいんですね。
スロポジだと回転が上がるとアクセルはわずかに開けますから、燃調マップをアクセル開度方向に
斜めに上がっていくことになるので、若干難しくなります。
また、よく言われるレスポンスですが、これも平均負圧なら当然スロポジより遅れるし
平均化されるので曖昧になります。
ところが、瞬間的な最大負圧はクランク1回転ごとの話ですから、スロポジより遅れるということはありませんし
アクセル開けはじめはバキューム値のほうが急激に立ち上がるので加速補正も必要なくなります。
ということではあるんですが、今回の検証で若干想定していたバキュームセンサーの動きと違う点が
あったので、そこは改善しようとおもいます。
んで、なぜアイドリングより2000rpm~3000rpm巡航のほうがバキューム値が下がるのかは、
色々な要因がありましたが、一番大きいのは燃調が関係しているようでした。
燃調があってくると、バキューム値は下がる傾向があるようです。
燃調が合う → 排気効率が上がる → より吸気しようとする → バキューム値が下がる
という感じです。
つまり、アイドリングがちょっと濃いめ、2000rpm~3000rpmのパーシャルがドンピシャの燃調だと
そのような現象が起こるようでした。
ということで、ここまでにわかったことで簡易的に対策してエリミ冷間始動をやってみました。
気温5℃、冷間始動の一発目です。
点火マップ、燃調マップ、その他初期設定は全て出荷時の初期状態で、
エリミ用ではない状態です。
信じるか信じないかはあなたしだい( ̄ー ̄)v
いやいや、本当です(笑
かなり改善しました(^^)♪
現状ではまだこのまま数分するとストールします。
それから、エンジンが温まると逆に始動しなくなります。
そこら辺はプログラムで何とかできると思いますので、まだ追加で温度センサー等を付けるつもりはありません。
今のところ、ご報告頂いてる症状は全てこちらで改善できると思っていますので
お客さんのほうで対処して頂くことはないように頑張ってますp(^^)q
検証・改善にはもう少し時間がかかりますが、また中間報告しますね。
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