NS400RのSP-TDC V180をお使いのお客さんから、BRISKプラグを使ったところV180が壊れてしまったとのことで修理依頼がありました。
ちょっと調べたところ、BRISKプラグはCDI点火では使えずフルトラでしか使えないとのこと。
更に点火システムが強化されていないと効果が出ないことがあるということです。
SP-TDC V180は、もちろん強化された点火システムに該当します。
お客さん曰く、イグニッションコイルがメーカー純正品だったため、容量不足でイグニッションコイルが焼けてしまったのではないかとのこと。
メーカー純正品といってもNS400R純正ではなく、ちゃんとフルトラ用のコイルです。
お送り頂いたV180も2番の点火回路が焼けておりました。
BRISKプラグにはメーカー純正イグニッションコイルもV180も耐えられない!? のか!?
1・3番もメーカー純正イグニッションコイルだったのに、なぜ2番だけ焼けたのか。
V180の点火回路も2番だけの損傷で1番は無事。
本当に容量不足なのかちょっと疑問があったので、こちらでもBRISKプラグを調達して実験してみることにしました。
BRISKプラグはこんなプラグです。
特徴的な電極ですね。
で、このプラグを付けるとコイル・点火回路が耐えられない・・・ そんなことがあるのか?
電気的にはこれだけのギャップに火を飛ばすには、確かにそれなりの能力が必要です。
が、能力が足りなければコイル・点火回路に負担がかかるのかというと、火を飛ばせないだけで負担はかからないはず。理論上はそういうことなはずです。
ですがあくまで理論上なので、実際使ってみるとなにか起こるのかもしれません。
まずSP-TDCの点火回路性能ですが、以前、別の実験をしたときの動画をご覧ください。
プラグを付けず、プラグキャップだけで放電実験したものです。
キャップまでの距離が10mm、キャップ内の電極までは15mm、合計のギャップは25mmということになります。
かなり危険ですのでマネしないでくださいね。
BRISKプラグのギャップは2.5mmくらいなので、なんら問題なく火は飛ばせるはずです。
ということで、机上テストですが実験してみました。
SP-TDCはNS400R用のV180、イグニッションコイルはメーカー純正のごく一般的なもので
直流抵抗3Ω程度でドエルタイムは5000μsのものです。
ここにBRISKプラグを装着して1時間程度ランニングしてみました。
BRISKプラグにもキレイに火が飛んでいます。
画像では3本飛んでるように見えますが、実際はどこかに1本飛ぶ感じです。
やはり、なにも問題はないようです。
オシロ波形でも確認してみました。
まずNGKの普通のプラグ。
1.8ミリ秒くらい火が飛んでいるようですね。
次にBRISKプラグ。
ギャップが広いので、誘導放電のときの電圧が若干高くなっているのと、火が飛んでいる時間が1.2ミリ秒くらいに短くなっています。
これはいたって普通の結果で、負担が増えているとは考えにくいです。
通電中の波形も見てみます。
NGKプラグ。
BRISKプラグ。
特に変化は見られません。
通電中はコイルの二次側は関係ないので、どんなプラグが付いていようが変化がないのも当然です。
なので、これも負担がかかっているとはいえません。
イグニッションコイルの温度上昇も、NGKプラグとBRISKプラグで特に変化はありませんでした。
最後に、テスターでイグニッションコイルに流れる平均電流を計測してみました。
ドエルタイム5000μs、6000rpm相当でどちらも0.82Aで違いはありません。
ということで、BRISKプラグを使用してもイグニッションコイルや点火回路に負担がかかるわけではありませんでした。
やはりBRISKプラグの説明にあるように、点火システムを強化していないと火が飛ばないことがあるということで負担がかかるということではないようです。
V180の点火回路の壊れ方からすると、2番の点火回路にだけ過電流が流れたと推測できますが、少なくてもBRISKプラグが原因ではないと思われます。
では、SP-TDCではBRISKプラグ推奨かというと、残念ながら推奨はできません。
理由はBRISKプラグの説明書にもあるとおりで、これだけ広いギャップだとカーボンが付着しただけでも状況は変わってしまいますので、長期間安定的に火を飛ばすのは難しいと思います。
レース使用なら効果があると思いますが、公道走行ではデメリットのほうが勝ってしまうと思います。
コメント
ご検証ありがとうございました〜!
う〜ん結局何だったんだろう?
装着直後は走れる事は走れたのですが、
失火してる感じでかなりギクシャクした
感じでした。
とりあえずIGコイルをウオタニに変更
したので再度試してみますよ〜!
イグニッションコイルがあそこまで焼けることは無いんですけどね。
BRISKプラグが原因ではないことはわかりましたが、今となっては謎です。
以前v140装着前にダイナSの時にブリスクではないですがNGKの3極プラグを使用したことがあります。
その際何故か5000回転以上上がらなくなるいう症状がありました
ツインプラグだと点火時期が変わるように何かしら変化があることはわかるのですが奥が深いなと思いました
複数電極やギャップの広いプラグは、火花が強力な反面、扱いが難しいですよね。