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年末でクソ忙しくなってきましたね(^^)
さて、そんな中、昨日は2stにSP-TDCを装着しての実車実験をしてみました♪
今回のお客さんはRZ250Rで、かろうじてアイドリングはするものの
全く吹け上がらず、バックファイヤーの連発で、とても走れる状態にならないという症状です。
実は2stの場合、このお客さんに限らず、装着初期段階では似たような症状になることが多々あるんです。
なんだかんだやってるうちに、最終的には動くようになるんですが、
いまひとつ これといった原因がわかっていません。
わりと同じような症状になるので、SP-TDCに何らかの原因があるとは思うんですが、
なかなか実車で実験することができなくて、はっきりと原因究明できていません。
今回、お客さんのバイクはRZ250Rで、こちらにTZR250がありまして
ピックアップ部やYPVSはほぼ同じようなので、TZR250を動くようにして実験してみました♪
レストアするほどの時間はないので、走行できる状態にはなってないんですが
とりあえずエンジンだけは動くという状態です。
結論からいいますと、最初はかろうじてアイドリング、バックファイヤー連発、吹け上がり最悪という
ほぼお客さんと同じ状態は再現できました。
そんで、結果的にまともに動くようになりました♪
ノーマルCDIと比べると、アイドリングは安定するためか、ちょっとおとなしくなったような感じですが
吹け上がりは凶暴な音に変わりました(^^)
タコメーターは全くついてきてません(笑
あと、ノーマルCDIだと結構な白煙が出るんですが、SP-TDCにすると白煙の量が減りました。
では、どこに原因があったのかというと、細かく随所にありました(^^ゞ
まずはハーネスです。
これはお客さんが加工したハーネスですが、やっぱりキレイに作ってあります(^^)
ですが、まずここに問題がありました。
イグニッションコイルへの配線です。
フルトラの独立点火になってますので、イグニッションコイル2個分の配線があります。
SP-TDCの一次電圧は高いので、ここからかなりのノイズを発散してしまいます。
ノイズ対策をしてくださいということでマニュアルに書いたり、説明したりするようにしてるんですが
どうもここが伝わらず、ノイズ対策をされない方が多いです。
1人や2人じゃないので、これはこちらの説明がうまくないんでしょうね(^_^;)
こちらでハーネスを作って出荷するとか、なにか対策しないといけないですね。
そんで、イグニッションコイルの配線は途中で他の配線と束ねてあります。
こうなると、SP-TDC本体にノイズが入り誤動作や再起動を起こしてしまいます。
では対策してみましょう(^^)
このSP-TDCは、CDIからフルトラに変更するため、そのままではタコメーターが動かなくなります。
なので、タコメーター用の配線を追加してまして、擬似的なCDI波形を出力してタコメーターを動かしてます。
この配線にも-100V程度の電圧が出ますので、イグニッションコイル配線と一緒にノイズ対策します。
イグニッションコイル電源、イグニッションコイルのマイナス側、タコメーター線とアース線を束ねます。
それをクルクルとねじりながらテーピングしていきます。
こうすることで、イグニッションコイルの電源線とマイナス側の線は電流の流れが逆になるので
互いに磁界を抑える方向に働きますし、アース線で囲われるのでノイズが発散しにくくなります。
アース線は、SP-TDC側とイグニッションコイル側の両端で車体アースしときます。
これで再起動してしまうことは、かなり軽減されました。
が、まだたまに再起動してしまいます。
他にノイズの発生源があるということなので、色々と調べたら・・・ ありました♪
プラグです。
プラグの先端についているアルミのキャップが緩んでました。
たったこれだけでも、一次電圧が強力なためノイズが出てしまうようです。
試しに、プラグキャップをしっかり挿さずにやってみましたが、やっぱりノイズで再起動しました。
その他、フルトラになるのでイグニッションコイルもノーマルとは違います。
なので、ノーマルのCDIとイグニッションコイルは車体につけたままにしていたんですが、
そうすると、エンジンがかかるとCDI用の発電をしてしまうので、これもまたノイズ発生源となっていました。
ノーマルCDIは外し、エキサイタコイルで発電した電流は外付け抵抗を付けて適切に処理しないと
ノイズも出るしエキサイタコイルも痛めてしまいます。
これでノイズによる再起動はしなくなりました♪
でも、まだかろうじてアイドリングする程度で、コントローラーで点火タイミングを変えても
何の変化もありません。
おかしいなぁ と思って、タイミングライトで見てみたら・・・
なんとBTDC40付近で点火してます ( ̄◇ ̄;)エッ
そんなところで点火するはずはない???
あ(汗
ピックアップコイルの極性が逆になってました ε=( ̄。 ̄;)フゥ
極性が逆では4stだと絶対に動かないんですが、2stはそれでも動いてしまうようです(^_^;)
しかもアイドリングがちょっと高めになって、なんか調子良いような気までしてしまいます。
ピックアップコイルの極性を逆にすると、こんなことになっちゃうんですね。
これは実車で実験しないとわかりませんでした。
TZR250では、ピックアップコイルからの配線の、白/黒=プラス、白/緑=マイナスとなっていました。
これで、ひとまずはまともに動くようになりました。
が、吹け上がり途中でたまに失火しているようなので、プログラムを変更して左右同爆にしてみました。
そうすると失火は無くなるようです。
同爆では問題なく、独立点火だと失火するということは、気筒判別を間違えているということですね。
気筒判別は、クランク180度毎にバキュームセンサーの値を読み込んで
どちらの気筒が吸気しているかで判断しています。
↓これがアイドリング時のバキュームセンサー波形です。
グラフの谷が吸気しているところです。
2stにバキュームセンサーは無理といわれますが、2stであってもこのようにちゃんと反応するんです。
値を平均化せず、吸気だけを青線で結ぶとかなり安定した値になります。
このグラフをもとに気筒判別をしているので、通常間違うはずはないんですが
アクセル急開したりすると、たまに誤判断してるようです。
今度は、SP-TDCのログ機能を使って吹け上がり時の状態を見てみました。
このグラフは、失火しないように左右同爆にしてとったグラフです。
茶が回転数、青がバキューム値です。
クランク180度毎のログなので、バキューム値はギザギザになります。
谷が吸気してるときのバキューム値で、山が吸気していないときです。
吹け上がるときや、アクセルを閉じて回転が下がりはじめるときに、
バキューム値の山と谷が逆転する場合がありました。
そのために気筒判別を間違ってしまうようです。
間違っても、その後すぐに復帰するので、結果としてたまに失火するという現象になっていました。
それから、グラフの横の赤線が大気圧のラインなんですが、吸気していないときのバキューム値が
ところどころ大気圧を超えています。
エアクリを外して実験してて、目視でもキャブから吹き返してるんで、
吹き返しで大気圧を超えてしまうようですね。
これも今まで想定していない現象です。
実験結果をもとに、気筒判別で誤判断を起こさないようにプログラムを変更した結果が
最初の動画の状態です。
点火マップはなるべくノーマルCDIと同じにしてみました。
2000回転まではBTDC21、3000回転でBTDC23まで進角し4000回転まで一定。
4000回転から遅角しはじめ9000回転でBTDC15、というのがノーマルのマップのようです。
YPVSがついてるから、ずいぶん緩やかなマップになっていますね。
YPVS無しだと5000あたりでもっと急激に遅角する感じです。
これで正常に動作するようになりました。
ということで、原因は↓この4点です。
1.ハーネス、プラグ、ノーマルCDIからのノイズによる誤動作
2.ピックアップコイル配線の極性間違い
3.バキュームセンサーによる気筒判別の誤判断
4.点火マップが合っていない
これで調子よく動くようにはなりましたが、問題もいろいろ見えてきました。
まず、チェックの過程でセッティングソフトで同爆と独立点火を切り替えられるようにしてみたところ、
同爆と独立点火では、目立った違いがないことがわかりました。
同時点火と独立点火のどちらが良いのかは諸説あるところですが、
紙ヒコーキ。では4stは同時点火、2stは独立点火が良いという見解でした。
ところが、今回の実験では、2stも同爆と独立点火であまり性能差は感じられないという結果です。
4stでも2stでも、同時・独立で性能には目立った変化はなく、性能以外の長所・短所があるといった感じですね。
となると2stの場合、独立点火にするには気筒判別をしなければならず、
そのためには片気筒だけにバキュームセンサーつける必要があります。
そうすると、左右のインシュレーターをつなぐパイプをころさなければいけません。
連結パイプを閉じてしまうデメリットもあると思うので、性能に差がないのなら
ノーマル同様の同爆のほうが性能的には良いのではないかと思います。
とはいっても走行テストをしたわけではないので、今回のお客さんには同爆・独立の切り替えを
付けようと思います。
あとはハーネスのノイズ対策と、2stの点火マップのシビアさですね(^_^;)
ポン付けできるほどの専用ハーネスと専用マップを最初から入れておけば解決しますが、
それをやるにはコストがかかりすぎるので、車種を限定することになってしまいます。
ご存じのとおり、2stのCDIユニットは部品も出ないし寿命もきていて2st乗りの方には深刻な問題ですよね。
できるだけいろんな車種に対応したいとこですが、毎回車体を用意して開発できるわけでもないので
どう対策したらいいのか、悩むところですね。
一度動いてしまえば壊れもしないし、ノーマルとは比較にならない性能なんですが
それ以前に、これでは確かに装着は難しいですよね(^_^;)
V140の出荷までには、何か対策を考えないといけません(^^ゞ
ん~ どうしよう (笑
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