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前回、SP-TDCのトラブルについて書いたところ、
自分のも紹介しちゃってください と勇気あるお申し出を頂きました(^^)
こういうことになるから、気をつけてください! って言いたいわけじゃないんですよ。
こういうトラブルを正直に言ってもらえると、商品開発にもすごく役立つんです♪
先回も書きましたが、こういうのって思い込みが結構な原因になってますので
お客さんもこっちも正直になって、本当の原因を究明するのは大事なことですよね。
今回は、お客さんご自身もプログに書いてますので、ある程度仕様も書きますね(^^)
名前は・・・ 書かないでおきます(笑
症状は・・・
点火回路がふたつともこんがり焼けてます(笑
見てわかるとおり、点火回路に大電流が流れてMOS-FETが焼けたってことなんですが・・・
かなりの大容量のMOS-FETですし、プログラム上通電しっぱなしにはならないので
普通はこんなことにはならないはずです。
なんだけど、以前にも数回、こんなふうにMOS-FETが焼けた事例があるんです。
その時は原因不明だったんですが、今回のお客さんは、すごく正直に状況を話してくれたので
原因がつかめました(^^)b
今回のお客さんは、ダイレクトイグニッションです。
コイルを並列につないだものの、配線が自信ないということでした。
ということで、コイルとハーネスも送ってもらいました。
ハーネスはきれいに仕上げてあるし、配線も間違ってないようです。
回路が焼けるほどの大電流が流れたはずなので、コイルはどうでしょう?
4本とも問題ないようです♪
実は、ダイレクトイグニッションだとわりと問題があるんですが、どれも原因不明なんです。
ダイレクトイグニッションは、気筒ごとにコイルがあるんで4気筒だと4個あります。
SP-TDCの標準回路では、点火回路は2個なので、コイルを並列につなぐことになります。
これが問題でして(^^ゞ
ネット上には、ダイレクトイグニッション化した記事がいっぱいありまして、
その中に、コイルは直列につなぐといいという説があるんですね。
でも、これはノーマルイグナイターの場合の話なんです。
ノーマルイグナイターは、イグニッションコイル1個に1回路なので、抵抗値の低いダイレクトイグニッションを
並列につなぐと、大電流がながれてイグナイタが焼けるんです。
それから、ドエルタイムも決まった長さなので、ダイレクトイグニッションには長すぎるんです。
それで、直列につなぐと電流は増えない、電圧半分、ドエルタイムは長い で、なんとか帳尻が合うんですね。
SP-TDCは、点火回路の容量が大きいですし、ドエルタイムも可変できるんで、
並列でいいんです。
ところが、並列では動かないという事例もありました。
そういう事例の場合、お客さんのほうで直列にしてしまって対処するので、原因はいまだにわかりません。
こちらが調査したお客さんは、全て並列で問題なく動いてるんですね。
あと、SP-TDCにしたらダイレクトイグニッションのコイルが壊れたということもありました。
それも結局は調査できずじまいだし、理論上はあり得ないことなんです。
今回も、SP-TDCは焼けてもイグニッションコイルは無事でした♪
そうなるはずなんですよね。
イグニッションコイルって、ただのコイルですから、そうそう壊れるもんじゃないです。
長時間、熱をかけて徐々に壊れるって感じになるはずです。
1次側、2次側の抵抗値をはかればすぐにわかりますよ(^^)b
で、話を戻して、お客さんの話からすると、ここが壊れるはず・・・
ビンゴです♪ 壊れてます♪
三端子レギュレーターっていう、12Vから5Vをつくる部品です。
裏から見ても、発熱したのがわかります。
原因がわかりました♪
バキュームセンサーへ5V電源を供給する青線が、何らかの理由で車体アースされてしまった。
バキュームセンサーも壊れてました。
5V電源が車体アースとショート状態となり、三端子レギュレーターが破損。
これでSP-TDC内部では、12Vは供給されていて、5Vは供給されないということになります。
5Vが無いので、PIC(コンピューターチップ)は動作を停止。
点火回路には12Vが供給されたまま。
PICが動作していれば、保護機能でイグニッションコイルに通電しっぱなしになることはありません。
でも停止したために、通電しっぱなしになったようです。
そうすると、イグニッションコイルひとつの抵抗値は1.4Ω、並列なので半分の0.7Ωになります。
12Vだと17Aもの電流が流れる計算です。
これはMOS-FETの定格を超えるので、その結果、MOS-FETが焼けてしまったようですね。
これだけの電流がながれても、イグニッションコイルは破損せず、イグナイターのほうが焼けるんです。
SP-TDCの問題としては、バキュームセンサーの5V線を車体に接触させてしまうと
点火回路が焼けてしまうということですね。
こういうのは、わかってしまえば簡単なことですが、全てを想定してテストしようとすると大変なことです。
既製品はそこまでテストするわけですから、膨大な費用がかかるわけですよね。
普通、こういうことがあるとSP-TDCの保護回路がないのが悪いと一方的に言われるんですが、
そこまでやったらセミオーダーなんてできませんし、状況がわからないと対処もできません。
今回のお客さんは、すごく正直に状況を教えてくれましたので、すぐに原因がわかりました♪
原因がわかったんで、次のバージョンアップでは、5V線をショートさせても
せめて回路が焼けてしまわないように改善したいですね(^^)
貴重な事例、ありがとうございました(^^)♪
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