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最近、農業ブログになりつつある 紙ヒコーキ。ですが (^^ゞ
SP-TDCもやってます。 もちろん パソコンもやってます (^^)v
今日は、冷間時の始動性が良くないというお客さんの修正がありましたんで、
ちょっとピックアップ信号のお話を(^^)b
ピックアップ信号は、ピックアップローターやフライホイールに付いてる突起を、
ピックアップコイルで検知する信号ですね。
これがなんなのか? っていうのが、今ひとつ誤解のあるところです。
ピックアップ信号にも、大きく分けると2つありまして、
ひとつはアナログ進角の点火用と、もうひとつはデジタル進角用です。
出てくる信号は どっちも同じなんですが、使い方が違うんですね。
アナログ進角の場合は、ピックアップ信号がきたところで点火しますんで、
信号は単にスイッチみたいなもんです。
ポイントが無接点になったようなもんですね。
デジタル進角の場合は、全く意味が違いまして、信号がきたところで点火するわけではありません。
車でいうところのクランク角信号とTDC信号ってことになるんです。
つまり、ピックアップ信号からクランク角を読み取って、点火するタイミングは計算するってことになります。
クランク角信号は、クランク角60度とか90度毎にくる信号で、
TDC信号というのは、クランク1回転に1回、上死点でくる信号です。
このふたつの信号から、クランクが今どの角度にあるのかを読み取るわけです。
バイクの場合は、スペースの都合でクランク角信号とTDC信号をひとつにしてピックアップ信号となってます。
そのため、突起ひとつだけ違う間隔にあったり、幅が違ったりしてTDC信号の代わりをしてるんですね。
全部の突起が同じ感覚、同じ幅で並んでると、クランク角が何度なのかがわかんなくなっちゃうわけです。
SP-TDCは、もちろんデジタル進角で、オリジナルローターはクランク角度は60度になってます。
ノーマルローターの場合は、クランク角度やTDC信号の取り方は様々なので
その都度、専用プログラムを作るわけです(^^)b
ピックアップ信号というと、発生電圧やノイズの混入は みなさん気にされるとこですが、
一番大事なのは信号の間隔なんですね。
ローターの突起が60度毎にならんでるんだから、60度毎に信号がくるんだろ!?
とお思いでしょうが、そう簡単にはいかないんですね。
ちょっと↓これを見てください。
一番上が紙ヒコーキ。オリジナルの7突起ローターです。
それを直線状に伸ばしたのが中段の図で、一番下が実際のピックアップ波形です。
波形は、2stのキック時の波形で、約620rpmです。
ご覧のとおり、突起が60度等間隔でも、クランク回転速度が違えば波形の間隔は等間隔にはなりませんね。
SP-TDCのコンピューターは、実際の角度じゃなくて波形の間隔を計測して
そこからクランク角度を割り出すわけです。
これはSP-TDCじゃなくても、デジタル進角のイグナイターはみんな同じことです。
しかも、バイクの場合はTDC信号も一緒ですから、波形間隔から等間隔じゃないところを判断して
上死点を把握するわけです。
等間隔じゃないところといっても、クランクの回転が不安定だとみんな等間隔じゃなくなるので
判断はなかなか難しいもんです。
バイクはフライホイールも軽く、圧縮も高いので車よりもクランクの回転速度は安定していません。
そのために、車用のECUではバイクに対応しにくいわけですね。
逆にバイク用のECUは、この不安定な回り方に対応するわけですから
車に流用するのは楽勝なわけです。
ということはですよ、同じローターでも違うエンジンに付けると波形は変わってくるわけなんです。
そこで、SP-TDCでは必ずクランキング時、アイドリング時、もう少し高い回転の
ピックアップ信号をオシロスコープで計測してもらって、波形に合わせてプログラムをワンオフ制作するんです。
オリジナルローターならオシロ計測はいらないよね(^^)b
とか、
モーターで回した波形でも良いでしょ(^^)b
というお客さんがいらっしゃるんですが、そうはいかないのです。
波形をちゃんととらないと、SP-TDCは全く動きません。
逆に、波形に合わせてプログラムをワンオフ制作してますから、パフォーマンスはそりゃ~もう(笑
そんで、今回、修正依頼のお客さんは、暖かいときにはイッパツ始動だけど
冷間時には、ほぼ始動は無理(>_<) 盛大なアフターファイヤーに見舞われるとのことです。
これは、一番不安定なクランキング時のピックアップ波形をうまく判断できないために起こります。
しかも、こちらのお客さんの車種は、同じ車種の方が他に二人おられまして
他のお二方は何も問題ないのです。
違うのは、他のお二方より寒い地域ということと、圧縮比が高くなってるってことです。
汎用品じゃなくて専用にプログラムを作ってるんで、こんなことも起きるんですね。
で、今回のお客さんのバリバリ冷間時のクランキング波形がこちらです。
一見、だからなに? って感じですよね。
これ、実は最初の図とおなじオリジナル7突起のローターなんですよ。
回転数は約235rpmです。
波形が広いところが圧縮工程で、狭くなってるところが爆発工程です。
波形をみるだけで、いかに圧縮が高いエンジンかがわかります。
ここまでクランク回転速度に変動があると、波形を見ただけではどこがTDC信号の7番突起かなんて
わからないでしょ。
これがバイク用のピックアップ信号の難しいところなんです。
車だと、等間隔のクランク角信号、上死点を判別するためのTDC信号とわかれているんで
いくらゆっくりでも不安定でも判断するのは簡単なんです。
ここまで波形に変動があると、もちろん判断ミスを起こしていますね。
プログラムを変更するわけですが、さて、この波形をどう判断しましょうか(・・?
単なる波形間隔では到底判断できませんね。
頭の使いどころです(^^)
ということですので、これからSP-TDCを制作される方は
良好な始動性とさらなる性能のために、ご面倒でもピックアップ波形はちゃんと計測してくださいね(^^)b
特にクランキング時の波形は、きれいな波形じゃなく、一番条件の悪い状態で計測するのが
よろしいです(^^)b
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